Introduction
かみ合わせの治療について
上下の歯の接触状態がかみ合わせです。かみ合わせが悪いと、食事がしっかりできないことが一番のデメリットとなります。
他にも、知覚過敏、歯の揺れ、歯槽膿漏、歯周病、虫歯、顎関節症といったあらゆる歯科疾患の引き金にもなりかねません。かみ合わせのずれは、そのまま顎のずれに直結します。
顎のずれが生じると、顔の歪みがそのまま全身の歪みとなります。かみ合わせが悪いだけで、全身のバランスに悪影響を及ぼしてしまうのです。
さらに偏頭痛や肩こりの原因になることもあります。このように、かみ合わせは全身の健康に対して大きく関与していると思っていいでしょう。
かみ合わせは一般的に歯並びの良さを連想させます。しかし、見映えはもちろんですが、安定したかみ合わせを実現するのがかみ合わせ治療なのです。
Feature
かみ合わせのずれの問題点
お口の健康を害する原因となる
かみ合わせのずれが歯槽膿漏や、虫歯、顎関節症などの疾患の原因になることがあります。歯が欠けたり歯が揺れたりといった症状に悩まされているとき、一番の原因は虫歯と思いがちです。また、歯周病などもこれらが原因となって起こることが多くなっています。
しかし、虫歯や歯周病の原因はこれらだけではなく、かみ合わせのずれによって起こる場合も少なくないのです。
原因として特に多いのが、過去の治療によるものです。奥歯の虫歯の治療などで詰め物や被せ物の高さが合っていないと、それがそのままかみ合わせのずれとなってしまいます。かみ合わせのずれによって奥歯の負担が増し、それが結果的に虫歯や歯周病の原因になってしまうのです。
また、かみ合わせのずれをそのまま放置しておくと、歯に過度な力が加わることで歯槽骨が溶け、歯ぐきが下がって歯根が出てしまうことがあります。そうなると知覚過敏が起こってしまうのです。
このことを、専門用語で咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)と呼んでいます。
かみ合わせのずれの影響は、顎の位置がずれ顎の関節にも悪影響を与えます。それが結果的に顎関節症を発症させることになるのです。
噛み合わせの悪さが偏頭痛、
肩こりなど全身にも影響する
かみ合わせのずれは、そのまま顎のずれといった違和感を生み出します。そして、顎のずれは顔の歪みや全身の歪みとなって現われます。
結果的に体全体のバランスを崩すことになり、それが偏頭痛や肩こり、めまい、腰痛、耳鳴りといった疾患の原因にもなるのです。
噛むためにも筋肉を使います。その筋肉の動きは首や肩などの筋肉と連動して動いています。かみ合わせが悪いと、筋肉に異常なストレスがかかることになり、血管や神経を圧迫することになります。
そのストレスを解消するために無理な姿勢をとっていると、結果として体のバランスも崩れていきます。肩こりや腰痛は、整体院に行くことが一般的ですが、一時的に腰痛や肩こりが緩和されても、原因となっている顎のずれが解消されていないので、何度整体院に通院しても解決には結びつきません。
このようなお悩みはありませんか?
該当する方はかみ合わせ治療を
おすすめします。
- いわゆる出っ歯の状態になっている
- 自然に口を閉じた時、下の歯が前の歯より外側になる。
- 歯の大きさを顎の大きさが合わず、でこぼこの歯並びになっている。
- 上下の前歯がかみ合わず、うまく食べ物が噛み切れない
- 前歯に隙間がある。上下の歯が左右にずれている。
Treatment
噛み合せ治療の基本と治療の目標
かみ合わせ治療の一番の目標は、かみ合わせの位置と顎の位置です。両者を安定させることがかみ合わせ治療の一番の近道となります。
また、かみ合わせの位置が安定すると顎の位置も安定すると思いがちですが、実はそうではありません。安定した顎の位置を専門用語で“中心位(ちゅうしんい)”と呼んでいます。一方で、かみ合わせの位置は“中心咬合位(ちゅうしんこうごうい)”と呼んでいます。そもそも両者は違う基準のものなのです。
中心位は、歯を噛み合わせていない、筋肉が最もリラックスした状態の顎の位置のことです。このことから、かみ合わせの位置と連動していないことがわかります。
そして、中心咬合位は、上下の歯がしっかり噛んだ状態のことです。そのため、中心咬合位が安定したかみ合わせと思いがちになるのですが、歯並びが悪くても、虫歯や歯周病でかみ合わせのバランスが崩れていても、その状態が中心咬合位となります。
以上のことから、正しいかみ合わせの位置を計るには、かみ合わせた位置の中心咬合位ではなく、顎の位置の基本となる中心位で決まることになるのです。
もっとも、中心咬合位と中心位は、かみ合わせが正常な人の場合は概ね一致します。
かみ合わせの治療について
犬歯誘導
中心位が顎の位置の基本となるのですが、それを安定させるのは歯のかみ合わせとなります。安定したかみ合わせを行うためには、歯の位置の微調整が必要となります。
その微調整の方法が犬歯誘導(けんしゆうどう)です。その名の通り、犬歯によってかみ合わせの位置を決める方法です。
かみ合わせについて違和感がある、時々奥歯が痛くなる、そういった日があるかと思うと何もない日もあり、気になりながらも日々過ごしていくことになります。
気になって歯科医を訪ねても、歯周病等何も問題が見つからなかったということが多々あります。
そういう場合でも、原因をしっかり追求してみると、やはりかみ合わせが悪かった、その原因の多くに犬歯が関係しているということがわかるのです。
そのため、犬歯誘導を行うことがかみ合わせ治療に対して、大きな有効手段となります。
スプリント治療
かみ合わせが悪い状態が長く続くと顎の位置がずれてしまい、ずれてしまった状態に慣れてしまいます。このまま放置すると、顎の関節に負担がかかるなど様々な問題が生じます。
この治療法として、適切な状態に調整したスプリント(マウスピース)を装着し本来の動きの回復を図ります。
安定したら、その後補綴治療を行います。
補綴治療
歯科治療の補綴(ほてつ)とは歯の欠損部分に代替の物を充填して補う治療を指します。主に虫歯治療後の詰め物や被せ物、インプラント、ブリッジ、入れ歯などがあります。
かみ合わせの乱れは虫歯など奥歯の治療をした際に充填した物が原因となっている場合が多いです。ですので、不良な充填物を除去し、適切な物に変えることで症状が改善されます。
オーバークラウン義歯
かみ合わせ治療では、ときに歯を削る場合がありますが、これは大きなリスクを伴います。反対にかみ合わせが全体的に低い場合は、高さを合わせることでかみ合わせ治療を行います。
それが、オーバークラウン義歯による方法です。
低くなっている歯にもかみ合わせ治療では、被せ物をするために歯を削る場合があります。しかし、オーバークラウン義歯の場合は、ほとんど歯を削る必要がありません。
そのため、なるべく歯を削りたくない人にとっては有効なかみ合わせ治療となります。
Flow
噛み合わせ治療の流れ
かみ合わせ治療の流れについてご説明します。
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STEP1.
問診・ヒアリング
最初のステップは“問診・ヒアリング”です。日々の生活習慣をお伺いし、“歯ぎしり”などの癖がないか、睡眠はしっかり取れているかといったこと、さらには、生活環境に変化はなかったか、強いストレスを感じることはないかなどをヒアリングします。
この問診・ヒアリングによってかみ合わせが崩れた原因を探っていきます。
さらに、顎の筋肉や状態、顎関節などを診察します。また、ヒアリングですから、“歯を削りたくない”などの要望もお聞かせください。 -
STEP2.
現状の検査
問診・ヒアリングで得た情報を元に検査を行っていきます。歯並びのチェックはもちろんのこと、かみ合わせや咀嚼の際に顎のバランスがしっかり取れているかなどのチェックも行います。
これには、レントゲン撮影や歯科用DTスキャンを活用します。 -
STEP3.
治療方法のご説明
患者さんの要望を踏まえながら、かみ合わせについての治療方針を提案します。現状のお口の状態を丁寧にご説明し、かみ合わせを正常に戻すためにこれからどのような治療を行うのか、さらには治療のゴールまでをわかりやすくご説明します。
Q&A型式なので、疑問に思ったこと、不安に感じたことなどは遠慮なくおっしゃってください。 -
STEP4.
治療開始・調整
治療方法に納得いただいたら、治療計画にそってかみ合わせ治療を開始します。歯並びやかみ合わせの状態を逐次チェックしながらかみ合わせと調整していきます。
治療に入ってからも、違和感や疑問点があれば、いつでもお声をかけてください。常に患者さんが納得のいくような治療をこころがけます。一緒にゴールに向かいましょう。