従来の虫歯治療に代表される歯の欠損部分に対する治療は、金属で補うのが一般的でした。「金歯」「銀歯」などがその代表例と言えるでしょう。

口の中は想像以上に過酷な環境です。歯には常に強い力が加わるので、歯そのものに強い強度が求められます。食事時には、熱いものや冷たいもの、さらには酸性のものが入ってくることもあります。
そういった過酷な状況であっても、金属であれば、強度的に問題なく、かつ長持ちするものでした。
そのため、長きにわたって虫歯治療に用いられてきたのです。
特に日本では医療保険制度が発達してきた経緯があり、保険適用内での治療が優先されてきた経緯があります。

一方で昨今の傾向として、虫歯治療のみならず歯科治療には見た目の美しさ、すなわち審美性を求める傾向が強まってきました。特に奥歯などの被せものには銀歯が多く使われてきたのですが、明らかに治療跡として目立ってしまうので、自歯と変わらないように見える白い素材での被せものが増えてきたのです。

この白い素材がセラミックです。ただし、セラミックも強度や見た目の透明感などに問題があり、最初から満足のおけるものではありませんでした。
現在のセラミック治療が確立されるまでは、試行錯誤の時代を経てきているのです。
特に「被せもの」であることから、求められるのは自歯との一体感です。難題ではありましたが、接着技術の進歩によってそれも克服することができるようになりました。
それら、さまざまな技術の進歩によって、セラミックだけで長持ちかつ自歯と変わらない輝きを得ることができたのです。
また、長持ちや見た目以上に気にしなくてはいけないのが安全性です。セラミック自体は、他の金属素材と違って高いレベルで安全性が担保されてきました。