Introduction

虫歯と一口に言っていますが、虫歯はれっきとした感染症です。虫歯にかかると、口内の細菌(ミュータンス菌などの虫歯病原菌)が作り出す歯垢(プラーク)によって歯の表面が溶かされてしまいます。
放っておくと症状はどんどん悪化していきます。虫歯は治癒することはないので、進行をくい止めるというよりは、できるだけ早期の治療が大切です。
口の中を不衛生にしていると誰でも虫歯になるのですが、それにも個人差があります。それは、唾液の量や質、さらには食事のタイミングなどによっても違ってきます。他には生活習慣病などによっても虫歯のリスクは変わってくるのです。
また、虫歯にも種類(ランク)があり、C0~C4という単位であらわします。Cの次の数字が大きくなるほど虫歯の深刻度が増していくことを示しています。
虫歯を放置していると、どんどん歯を侵食する度合いが増えていきます。結果的に歯を失うリスクも高くなるので、早期の治療が大切です。
また、虫歯の深刻度が増すほど治療期間や治療費用が増すことも覚えておきましょう。

虫歯が治癒することはありませんが、初期段階の“C0”では、歯が持っている再石灰化という機能で自己治癒することがあります。ただし、段階がC1~になってしまうと、自己治癒することはありません。
歯がしみる、痛みが走るといった症状があらわれたら、歯を守るためにも歯科医院での早期の受診をおすすめします。

歯科での虫歯治療は
次の3つに分けられます。

  • 虫歯になる悪い要因を取り除く
  • 失った歯を入れ歯やブリッジ、インプラントなどで
    噛めるようにする
  • 虫歯にならないための予防治療

Treatment

虫歯の段階によって最適な虫歯治療を行います。
そのため、先ずは口内を検査し、虫歯の状態を把握してから治療方針を決めて虫歯治療がスタートします。

C0 【ごく初期の虫歯】

一番軽度の虫歯の状態がC0です。歯に穴はあいてなく、表面が白濁した状態です。この段階では、痛みなどの自覚症状もありません。そのため、ご自身での発見は難しいでしょう。
この段階では、定期的に歯科医院での検診が身についているかどうかが、歯を削るか削らないかの分岐点となります。

治療方法

自己治癒が期待できるので、適切なブラッシング、またはフッ素塗布などで治ることもあります。

C1 【エナメル質の虫歯】

歯の表面にあるエナメル質が溶けた状態です。見た目でも表面が黒ずんでいたり茶色くなっているのがわかります。
一方で痛みが無い状態で、歯科医での検診において見た目、あるいはレントゲンなどで分かるケースがほとんどです。
前歯や奥歯の間の溝であれば、保険適用で白い歯(コンポジットレジン)で対応可能です。それ以外の場所となると、金属あるいはセラミックの詰め物(インレー)での対応となります。

治療方法

虫歯になった部分(色の変わった部分)を削ります。削った箇所にレジンや金属、セラミックの詰め物をして治療を行います。

C2 【象牙質の虫歯】

エナメル質の内側にあるのが象牙質です。C2は象牙質に虫歯が達した状態です。象牙質はエナメル質よりも軟らかいので、ここに虫歯が達すると、虫歯の進行が速くなります。虫歯が前歯や奥歯の溝であればC1と同じようにコンポジットレジンでの対応が可能です。しかし、C2の範囲が広くなってしまうと、削った後に歯形を取ることで、金属やセラミックの詰め物を作って、削った欠損部を修復していきます。
C2になると冷たい物がしみたり甘い物を食べると痛みを感じるようになります。

治療方法

虫歯の部分を削り詰め物で修復します。

C3 【神経まで達した虫歯】

虫歯が象牙質の内側に達した状態です。象牙質の内側は歯髄になります。
この状態になると、歯髄に細菌が侵入することで激しい痛みを伴うことがあります。具体的には食事中に痛くなる、夜中に痛くなるなどです。
この状態では、神経に達しているので激しい痛み(個人差はありますが)がありま。神経を取らずに治療をするために、痛みが落ち着くかどうかを、鎮静効果や消毒効果のある薬剤を投入して様子を見ることもあります。(多くは神経を除去する虫歯治療となります)
ここでも、痛みが出る場合、または歯髄の炎症などが発症している場合は、歯髄組織を除去し、根幹内を消毒します。そこで、シーリング材を使用して除去した部分を充填します。
歯髄が死んでしまった歯はもろくなっているので、クラウンなどの被せ物は必須です。

治療方法

根管治療を行い、被せ物をする治療となります。根管治療とは、神経を除去し、根幹(神経が入っていた管)の内部を消毒し薬剤を詰める治療法です。
また、必要に応じてラバーダムを使用することもあります。ラバーダムは、歯全体をゴム製のシートで覆って、虫歯だけを露出させる器具です。これによって、他の健康な歯への虫歯菌の感染を防ぐことができます。

C4 【歯根まで達した虫歯】

歯根だけが残っていて虫歯がもっとも進行した状態です。この状態では、神経が死んでいるので痛みを感じることもありません。治療方法はC3と同様で、虫歯を除去し被せ物をします。
ただし、状況によっては歯根部を抜歯することもあります。

治療方法

ほとんどの場合抜歯が必要となります。抜歯後は入れ歯やブリッジ、インプラントなどで失った歯の機能回復を図ります。

Maintenance

虫歯の状況や段階によって様々な虫歯治療があります。そして、虫歯治療は詰め物をしたり被せたりしただけで治療が完了するわけではありません。

詰め物や被せ物は日々の経過とともに劣化し、取れてしまうこともあります。そのため、虫歯治療後も定期的な検診が必要です。

異常を感じて来てもらうときには、被せ物が取れてそこから虫歯がさらに進行している場合もあります。虫歯治療後でも、少しでも異常を感じたり、不安を感じたりする場合は、お気軽に歯科医院にご相談ください。
痛みがなく、問題なく咀嚼できるようになるまで当院のサポートは続きます。

本来の生活が始まってからが、メンテナンスのスタートとなります。詰め物や被せ物、さらには入れ歯やブリッジ、インプラントでもかみ合わせが悪くなる場合があります。
当院では、患者さんが二度と辛い思いをしないようにお口の健康全体をサポートしていきます。