Introduction
予防歯科という考え方
病気になったら病院に行く…病院の利用方法としては正しく、同じように歯が痛くなったら歯医者に行くのも同様です。一方で、病気にならないために普段から体の健康に気をつけるように、虫歯にならないために歯の健康にも気をつけたいものです。
そこで、虫歯になる前に歯医者に行くというのが「予防歯科」という考え方なのです。
自分で歯磨きをすれば良いのでは?と思いがちですが、歯磨きにも正しい歯磨きの方法があります。そういった指導も含めて予防歯科にかかるのは意義があるといっていいでしょう。
歯医者でクリーニングを受けることができますし、プロフェッショナルケアを受けて、歯のメインテナンスをすることによってご自身の大切な歯を守りましょう。
Feature
予防歯科の特徴
予防歯科でのクリーニングの目的は、虫歯や歯周病の予防です。虫歯や歯周病の原因になるのは、言うまでもなく歯の間に付いている食べかすです。
食べかすが歯垢や汚れになり、歯の表面を溶かしていき、それが結果的に虫歯となってしまいます。また、汚れが歯石になることもあり、そうなると毎日の歯磨きでは落としきれません。
歯石はやっかいで、歯周病や虫歯の原因にもなるのですが、さらに口臭も引き起こします。そのため、歯垢や汚れ、歯石などをクリニーニングによってきれいに除去することで口の中を健康的に保つことができます。
クリーニングは予防に効果があるのはもちろん、歯を綺麗にする効果もあります。色素も落とせるので、歯を美しい見た目、いわゆる「白い歯」にすることができるので、見た目の美しさを目指すことができます。
歯が美しくなると人前でも華やかに振る舞うことができ、何をするにしても自信がわいてくるでしょう。
Case
プロフェッショナルケアを受けた方がいい事例
歯磨きが苦手・歯並びが悪い
歯磨きは毎食後3分以上行うことが理想とされています。ただ磨くだけではなく、親知らずを含める32本の歯をそれぞれ綺麗に磨くようにしましょう。
綺麗に磨いたと思っても歯間などには歯ブラシがリーチしづらく、歯間についてはデンタルフロスを使って綺麗にするようにしましょう。
ここまで、綺麗にできない、歯磨きに自信がない、こういった人に”磨き残し”が発生していることが少なくありません。
磨き残しを防ぐためにも、定期的にプロフェッショナルケアを受けて歯のメインテナンスを受けるようにしましょう。
定期的にメインテナンスを受けるで、磨き残しが原因となる歯石がなくなります。
そうすると様々な菌の増殖を防ぐことができ、歯周病や虫歯予防、さらには口臭を抑えるのにも効果的です。
愛煙家・色素が付きやすい飲食習慣の方
愛煙家にも歯のクリーニングをすすめています。また、紅茶やコーヒーなど色つきの飲み物を好む人にも歯のクリーニングは必要と思っていいでしょう。
タバコについては歯の裏にヤニが付きやすいですし、紅茶やコーヒーに含まれるタンニンの色素は時間をかけて沈着し、歯の黄ばみを促進させます。
喫煙している人やコーヒーを好んで飲む人であれば、一度予防歯科のクリーニングを受けてみるといいでしょう。
Compare
ホワイトニングとの違いについて
同じような意味に捉えがちですが、予防歯科とホワイトニングは違います。ホワイトニングは歯の白さなど見た目の美しさを向上させるためのもので、いわゆる審美歯科のジャンルになります。
一方の予防歯科は、歯石や歯の色素を取り除いて口内環境を整えるために歯科医など、プロに施述をしてもらいます。結果的に歯が綺麗になるので審美的な要素もありますが、目的とするのはあくまでも歯の健康です。
全てではありませんが、プロフェッショナルケアの一部については健康保険が適用されますが、ホワイトニングについては全てが保険適用外です。
Kinds
歯のメインテナンスで行うこと
<プロフェッショナルケア>
TBI
歯磨きが正しく行われているかどうかは、プラークの染出しで評価を行います。磨き残した部分が染出されているので、それが全体の何%になるかで、PCR(プラークコントロールレコード…磨き具合の評価)を算出するのです。
PCRが20%以下であることが一定の基準となります。もちろん、磨き残しが多い場合については歯磨きの方法について指導も行っています。
スケーリング
歯石の除去を行うのがスケーリングです。先述していますが、歯石は“虫歯”“歯周病”“口臭”の原因になるものです。
下顎の前歯や上顎の大臼歯など唾液が溜まりやすいところに歯石はできやすく、その部分を入念にスケーリングします。個人差もありますが、歯石ができやすい人は1ヵ月でもできてしまうので、定期的なスケーリングが必要になります。
歯石の除去というと“歯を削る”といったイメージを持つ人も少なくありません。しかし、スケーリングで派を削ることはないので安心してスケーリングを受けてください。
ポリッシング(研磨)
できたばかりの歯石や軟らかい歯石にはポリッシングが効果的です。専用の研磨剤が入ったペースト状のものを使用するので、スケーリングよりも歯に優しいのが特徴です。
また、歯の表面に小さな傷がついて歯石が付きやすくなっている歯にも有効です。
フロッシング(デンタルフロス)
歯と歯の間にも歯石ができます。この部分にできると歯石が取りにくく、かつデリケートな部分なのでスケーリングやポリッシングよりもフロッシングを用いることが多くなってきます。細かい部分に有効で、PCRを20%以下にするためにも必要不可欠なクリーニング方法です。
フッ素 or MIペースト
歯石を取るなどして歯が綺麗になったらそれで終わりではありません。歯石が付きにくくなるように、さらには虫歯になりにくいように、フッ素やMIペーストといった薬剤を歯に塗布します。
フッ素は、歯の耐酸性を向上させ虫歯によって歯が溶かされるのを防ぐ効果があります。一方のMIペーストはカルシウムイオンが豊富で、それが歯に取り込まれることで再石灰化を促進します。
<ホームケア>
歯ブラシ
歯の表面は比較的良く磨けていることが多いのですが、歯間や歯と歯肉の境目などは磨き残しが多く、そこにプラークが付着しやすくなります。
基本的な対策としては、歯間や歯と歯肉の間に歯ブラシを軽くあてて、小刻みに振動させるように磨きます。また、時間をできるだけ多くとって磨くようにしましょう。
電動歯ブラシなどを使うのも一つの方法です。
フロス
歯と歯の間のクリーニングにはデンタルフロスが有効です。使用方法としては、歯と歯の間に斜めにスライドさせてゆっくり前後に動かします。
これは、実践しないとなかなかコツがつかめないので、最初は歯科医あるいは歯科衛生士に指示を受けるようにしましょう。
歯間ブラシ
歯周病が進行してくると歯と歯の間にすき間ができてしまいます。そうなると歯ブラシよりも有効なのが歯間ブラシです。歯と歯の間の根元に直角に挿入して何度か出し入れするように磨きます。
Flow
治療の流れ
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STEP1.
スケーリング
クリーニングの中でも強度が高いので患者様には嫌がられるクリーニング方法になります。ただし、頑固な歯石を除去するにはスケーリングがもっとも有効な方法です。
歯石が軟らかければスケーリングをパスして、ポリッシングから始めてもかまいません。
もっとも、強度が高いのでそれだけ時間短縮になるので、歯石の程度はともかくスケーリングから始めるケースが多くなっています。
また、スケーリングの機械を使うことは歯周病菌の除去にもとても有効です。スケーリングの機械の先からは水だけではなく気泡も噴出しています。空気を歯周病菌は嫌がる性質があるので、歯周病菌をやっつけるのにとても有効な方法となっているのです。 -
STEP2.
ポリッシング
ブラシが高速回転することで歯の表面を磨いて綺麗にします。薄く柔らかな歯石の除去にも有効です。
タバコのヤニやコーヒーなどで着色された歯を綺麗にすることもできます。
歯を綺麗にするだけではなく、艶々でツルツルな歯になるので患者様にもっとも喜ばれるクリーニング方法となっています。
ツルツルになるのは、歯の表面を覆っている「バイオフィルム」といった膜を取り除いているからです。これは、通常の歯ブラシでは除去できません。
バイオフォルムが虫歯や歯周病の原因ともなるので、ポリッシングでしっかり除去しましょう。 -
STEP3.
ブラッシング
バイオフィルムを除去すると最後の仕上げがブラッシングです。歯ブラシに高濃度のフッ素剤を付けて歯を磨きあげて仕上げとなります。